専門職としてアメリカ企業に採用され一時就労する外国人に発給されるビザです。
滞在期間
ビザの有効期間と同じ期間の滞在が許可され、最長6年までH-Bビザで滞在することが出来ます。(国防省の国際共同研究開発プロジェクトに参加予定の外国人の場合は最長10年。)
H-1Bビザで6年間滞在した外国人が、Hビザ、またはLビザ(同系企業内転勤者ビザ)を新たに申請する場合、最低1年間アメリカ国外に居住していなければなりません。
Lビザを所持している外国人が、アメリカ国内で移民局にH-1Bビザへの在留資格変更の申請を行なう場合、H-1Bビザで認められる滞在期間は、Lビザで滞在していた期間も含めて計算されるため、6年未満となります。例えばLビザで2年間滞在していた外国人が、アメリカ国内でH-1Bビザへの在留資格変更申請を行なった場合、H-1Bビザで認められる最長滞在期間は4年間となります。なおこの制約はアメリカ国外でH-1Bビザ申請の許可を待っている場合には適用されません
【注意】H-1Bビザで滞在中に雇用に基づく移民ビザ申請を行なっている場合の最長滞在期限の延長について
2000年10月成立した「21世紀米国競走力強化法」により、以下の要件を満たしたH-1Bビザ保持者につき、最長滞在期限(6年)が切れてしまっても、雇用に基づく移民ビザ取得手続が終了するまでの間、滞在期限を延長することが認められています。延長が認められるためには移民局に延長申請を行う必要があります。申請が許可されると1年間の延長が可能となります。
ここでいう「雇用に基づく移民ビザ取得手続が終了する」場合とは、以下のいずれかに該当する場合をいいます。
・ | 外国人労働者採用許可申請が却下された場合。 |
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・ | いったん許可された外国人労働者採用許可が取り消された場合。 |
・ | ビザ請願が却下された場合。 |
・ | 移民ビザ保持者としての登録申請(アメリカ国内で行なう非移民ビザから移民ビザへの切り替え申請、または大使館・領事館に行なう移民ビザ申請)が認可された、あるいは却下された場合。 |
また、同じ「21世紀米国競争力強化法」により、H-1Bビザで滞在している外国人のための移民ビザ請願は認可されたが、該当する雇用優先カテゴリーに対する割当て制限等により、次のステップ、つまりアメリカ国内で行なう非移民ビザから移民ビザへの切り替え申請(I-485在留資格調整申請)を行なうことができない状態にあり、その間にH-1B最長滞在期限が切れてしまった場合でも、最終的に切り替え申請の審査結果が出るまでの間、滞在期限を延長することが認められています。延長が認められるためには移民局に延長申請を行なう必要があります。申請が認可されると、最長3年間の延長が認められます。
発給上限(枠)の対象外となるH-1B申請
「21世紀米国競走力強化法」では、発給枠の対象外となるH-1B申請のカテゴリーが拡大されました。従来、H-1Bの滞在期間延長申請、修正申請、あるいはH-1Bビザ所持者が転職したことによる新たなH-1B申請に基づいて発行されるビザについてはこの枠の対象外とされてきましたが、本法により以下に該当する申請に基づいて発給されるH-1Bビザについても枠外とされることになりました。
・ | 高等教育機関、非営利研究団体、米国政府研究機関で働く外国人のためのH-1Bビザ申請:これにより年間約6,000から1万件のH-1Bビザが枠外になると予想されています。なお上記機関、団体で働いていたH-1B労働者がその職を離れ、企業のシンクタンク等に転職した場合、当該企業によるH-1Bビザ申請は枠内として扱われます。 |
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・ | J-1ビザ(交流訪問者ビザ)で米国に滞在していた外国の医者で、2年間の帰国義務規定(注)の適用を受ける外国人について、H-1Bビザ申請をするに先立ち、同規定の適用をConrad 20プログラムに基づいて免除された外国人のためになされたH-1B申請 :この場合、転職したことによって新たになされるH-1B申請も枠の対象外となります。
【注】 J-1ビザ2年間帰国義務規定とは?:外国大学医学部卒業生で、アメリカで医学研修を受けるためJ-1ビザ(交流訪問者ビザ)を取得した外国人のうち、臨床を含む研修プログラムに参加した外国人は2年間の帰国義務規定の適用を受けます。この規定の適用を受けると(1)J-1ビザ保持者として滞在中、他の非移民ビザ(A、Gビザを除く)への在留資格変更申請や、また移民ビザへの切り替えを行なうことが出来ない、(2)アメリカ大使館、領事館にH、Lビザ申請、または移民ビザを申請を行なう場合、その申請から遡って少なくとも2年間自国に居住していなければならないという、制約を受けます。その他、国務省の「交流訪問者技能リスト」により自国において稀少な技術、技能を持つとされる外国人、米国政府または交流訪問者の自国政府から財政的支援を受けているプログラムに参加するJ-1ビザ保持者についてもこの規定の適用を受けます。 なお適用の免除が与えられる場合があります。 |
専門職とは、職務遂行のため通常少なくとも学士号、またはそれに相当する職務経験、職業訓練が必要とされている職業で、公認会計士、技師、財務アナリスト、コンピューターアナリスト、建築家又は弁護士などが該当します。
2.ビザ申請者がその専門職に就くために必要な学位・資格を持っていること、またはそれに相当する職務経験があること。
学位に関しては原則として、それが米国外の大学の学位でも米国大学から授与されたものでも構いません。特別な資格、ライセンスがなければ業務できない専門職の場合、就労予定の州の資格、ライセンスを実際に持っていなければなりません。修士号以上の学位が必要とされている職業の場合、実際に修士号を持っているか、あるいは学士号に加えてその専門分野で少なくとも5年間の職務経験を有していることが必要となります。最低学士号が必要とされている専門職の場合、全く大学に行かなかった人の場合、学士号に相当する職務経験が必要です。この場合、4年制大学1年分が3年の職務経験に相当すると見なされていることから、その専門分野で少なくとも12年の職務経験が必要になります。
3.ビザ申請をしてくれる米国企業から採用内定をもらうこと。
原則として移民局にH-1Bビザの申請を行うことが出来るのはアメリカ企業に限られており、外国人個人で申請をすることは出来ません。このため申請をしてくれるアメリカ企業から採用の内定をもらう必要があります。但し、国防省の国際共同研究開発プロジェクトに参加する外国人労働者の場合は、外国人自らでビザ申請をする事が出来ます。
4.滞在期限後アメリカを離れること。
H-1Bビザの取得手続
H-1Bビザの取得手続は以下の3段階からなります。(外国人がアメリカ国外でビザ取得を待つ場合)
1.履修課程の一環としての実務研修
(Curricular Practical Training)
雇用主は、移民局へのH-1Bビザ申請に先立ち、連邦労働省に外国人労働条件許可申請を行う必要があります。この申請の目的は、雇用主による安い外国人専門職労働者の雇用を阻止し、アメリカ国内の賃金水準を引き下げないようにすることにあります。雇用主はこの申請の中で、外国人専門職労働者に支払われる賃金は、同様なポジションにある社員に支払われている賃金、または予定勤務地周辺で同様なポジションにある労働者に支払われている平均賃金より高いこと、また外国人専門職労働者の労働条件が予定勤務地周辺で同様なポジションにある労働者に悪影響を及ぼすものでないことなどを誓約します。雇用主が誓約事項を遵守していないことが発覚すると罰金などの罰則が科せられます。
2. 移民局へのH-1Bビザ申請
雇用主は続いて移民局にH-1ビザ申請を行ないます。(この申請は外国人労働者の勤務予定地を管轄とする移民局に行います。) 添付書類として外国人労働者がH-1Bビザの取得要件を具備していることを詳細に記した雇用主の手紙、またその裏づけとなる卒業証書などを提出します。
2004年12月8日の移民法改正により、移民局へのH-1Bビザ申請には、通常の申請料に加えて「トレーニング料」(1,500ドル)を支払わなければならなくなりました。(但し従業員が25人未満の雇用主の場合には、半額の750ドルです。)徴収されたトレーニング料は、数学、コンピューターサイエンス等を専攻する低所得家族出身のアメリカ人学生の奨学制度やアメリカ人労働者の職業訓練などに利用されることになっています。
また同日移民法改正により、2005年3月8日以降移民局に行う新規H-1Bビザ申請、または別の非移民ビザからH-1Bビザへの在留資格変更申請については、詐欺防止料として別途500ドルの支払が必要となります。
3. アメリカ大使館・領事館へのH-1Bビザスタンプの申請
H-1Bビザ申請の許可が下りると、I-797(Notice of Action)が移民局より雇用主に送られてきます。アメリカ国外でH-1Bビザ取得を待つ外国人は、アメリカ大使館・領事館に、I-797を、DS-156(非移民ビザ申請書)、DS-157(非移民ビザ補足申請書。申請者が16歳以上の場合)・パスポート・写真・申請料支払証明書と併せて提出し、ビザスタンプ申請を行います。
しかし非移民ビザの中にはこの要件を必要としていないビザがあります。H-1Bビザもその1つです。移民法上H-1Bビザには「二重意思の原則」が認められていて、移民ビザの取得手続を始めた後H-1Bビザを申請する、つまり一方でアメリカに永住する意思があることを表明しておきながら、他方で一時的にアメリカに滞在したいという2つの相反する意思を同時に持つことが許されています。ですから移民ビザ請願を移民局にしているという事実のみを理由としてH-1Bビザ申請が却下されることはありません。