Eビザ 条約関連貿易駐在員・条約関連投資駐在員ビザ

日米友好通商航海条約に基づき、日米間で大きな取引に従事している現地貿易企業のオーナーとして、または役員、管理職、専門的知識の持ち主として日本企業から派遣される場合にはE-1ビザが発給されます。または現地企業に相当額の投資をしている日本企業から役員、管理職、高度な専門知識・技能の持ち主として派遣される場合、あるいは個人投資家に対してはE-2ビザが発給されます。

なお2002年1月16日、Eビザ保持者の配偶者に米国内での就労を許可する法律が成立しました。これまで台湾経済文化代表事務所に勤務するEビザ保持者の配偶者についてのみ許されていた就労が、同法の成立によりすべてのEビザ保持者の配偶者に認められるようになりました。


1. Eビザの有効期限と滞在期間
日本人の方には最長60ヶ月有効なビザが発給されます。(ビザの有効期間とは、この期間空港等において入国許可申請が出来るという意味に過ぎず、その間の入国が保証されたということではありません。)

Eビザ所持者に認められる滞在期間は2年間です。Eビザで2年以上滞在する必要がある場合、米国内で移民局に滞在期間の延長を申請するか、または一旦国外に出て、再入国の際に新たに2年間の滞在許可を認めてもらう必要があります。


2. E-1ビザの取得要件
(1)現地貿易企業の国籍要件
貿易駐在員を受け入れる現地貿易企業の株式または持分の50%以上(50%を含みます)が条約締結国の国民(日本人)によって保有されていること。移民ビザを持っている者は当該条約締結国の国民とは見なされません。日本企業が現地法人の50%以上の株式、持分を保有している場合、その日本企業の株式が日本の証券取引所で取引されていればこの要件を満たしたものと推定されます。

≪例≫
ある現地の貿易会社について、10人の株主がそれぞれ10%の株を保有しており、そのうち5人が日本人である場合。この貿易会社は条約締結国の国民によって50%の株式が保有されていることからこの要件を満たしています。
日本で設立された会社(上場企業で東京証券取引所で株式の取引がなされている)が米国で100%出資の貿易会社を設立した場合、当該親会社の国籍は、日本の証券取引所に上場されていることから日本となり、現地の貿易会社の国籍は、日本国籍を持つ株主が100%その株を所有していることから日本になります。

(2)E-1ビザ申請者の国籍要件
貿易駐在員の国籍は、現地企業の国籍と同じでなければなりません。現地企業の国籍が上記(1)により日本とされた場合、貿易駐在員の国籍も日本でなければなりません。

(3)現地貿易企業は継続的かつ実質的な取引に従事しており、その貿易量の51%以上が日米間の取引であること。
「取引」とは?
移民法規則では、取引の対象となるものとして有形商品、サービス、インターナショナル・バンキング、保険、金銭、輸送、通信、データ・プロセシング、宣伝、会計、デザイン・エンジニアリング、経営コンサルテイング、観光事業、技術等を挙げています。「取引」とはこれらのものの交換、購入または販売を意味し、原則として実際に商品、サービス、金銭の移動が伴っていなければなりません。因みに、1997年の移民法規則改正により、取引の対象となるものを直ちに交換するよう求めている法的拘束力のある契約が締結されていれば、取引の対象となるものが実際に交換されていなくても、そのような契約が締結されているという事実をもってこの要件に必要な「取引」が存在しているものと解釈されています。

「継続的、実質的な取引」とは?
取引量、取引の回数、継続性が考慮されます。たった1回の取引ではその取引量がどれだけ多くても「継続的、実質的な取引」とは言えません。取引金額も考慮されないわけではありませんが、それよりも取引が続いていること、将来も取引をする旨の取り決めが存在していることの方がE-1ビザとの関係では重視されます。個人企業の場合、取引の結果生じた収益が、E-1ビザ申請者とその家族の生計を支えるに十分であることが証明できれば、実質的な取引があったものと考えられています。継続的、実質的な取引が存在しているかどうかはビザ申請時を基準として判断されますので、申請前に何らかの取引が存在している必要があります。

現地貿易企業の貿易量の51%以上が日米間でおこなわれていればよく、日本の会社がこの基準を満たしている必要はありません。

(4)E-1ビザ申請者は以下のいずれかに該当する者として入国すること。

ア) 現地企業のオーナー
イ) 現地企業の役員または管理職
移民法規則によると、「役員」とは現地企業の政策、方向性について大きな決定権を持つ者、また「管理職」とは現地企業の重要な部署について監督責任がある者で、通常下級レベルの従業員を直接監督する職責にない者と定義されています。
ウ) 現地企業の事業運営に必要不可欠な高度且つ専門的な知識、技能を持つ者

申請者の持つ知識、技能が現地企業の事業運営に必要不可欠であることを証明するだけでなく、その知識、技能がどのくらいの期間必要とされるのかについても立証する必要があります。申請者の持つ知識、技能は、現地企業が米国で事業を展開している限り、継続的、長期的に必要なものなのか、あるいは新規事業の立ち上げ、または製造、メンテナンス、修理部門で働く米国人労働者を監督、訓練する目的など一時的、短期的に必要なのかを明確にすることが要求されます。

申請者が、現地企業の事業運営に必要不可欠な高度且つ専門的な知識、技能を持っているか否かを判断する際、国務省、移民局は以下の点を審査します。
・ビザ申請者が、専門分野でどの程度の経験をもっているか。
・専門とする知識、技能の独自性。
・ザ申請者の持つ知識、技能と雇用主の事業との関係。
・当該知識、技能保持者に通常支払われる給与額。
・当該知識、技能の習得のために要する時間。
・同様な知識、技能を持つ米国人労働者が存在するか否か等。

(5)Eビザ申請者は任務終了後米国を離れるつもりであること。


E-2ビザは「条約関連投資駐在員ビザ」と呼ばれ、現地企業に既に相当額の投資をしている、または投資の過程にある個人投資家、投資企業の役員などが、現地企業の経営、管理を目的に渡米する場合に発給されるビザです。

3. E-2ビザの取得条件
(1)現地投資先企業の国籍要件
投資先企業の株式または持分の50%、またはそれ以上が条約締結国の国民(日本人)によって保有されていること。但し移民ビザを持つ者は当該条約締結国の国民と見なされません。日本企業が現地投資先企業の50%、またはそれ以上の株式、持分を保有している場合、当該日本企業の株式が日本の証券取引所で取引されているのであればこの要件を満たしたものと推定されます。

(2)E-2ビザ申請者の国籍要件
E-2ビザ申請者の国籍は、現地投資先企業の国籍と同じである必要があります。

(3)投資家(個人、法人)は、実際に運営されている現地企業に積極的な投資を既に行なったこと、あるいは投資を目的とする活動を活発に行なっていること。
移民法上「投資」と認められるためには何らかのリスクを伴う投資を行なう必要があります。投資がうまくいかなかった際、投資家が何からの損失を被る恐れがない場合、Eー2ビザとの関係では「投資」と認められません。

また積極的な投資であること、つまり投資された資本が商品やサービスを生み出す為に利用されることが必要です。例えばある土地に投資をするという段階では投機的、消極的な投資に過ぎませんが、投資した土地に関する開発計画を行政機関に提出し、ビルの建設が具体的に進んでいるような場合、この投資は積極的なものと考えられます。

「投資を目的とする活動を活発に行なっていること」という要件については、単に投資をする意思があるというだけでは不十分で、実際に事業を始めるほぼ手前の段階まで来ていることが必要だとされています。単に事務所のリース契約などを交渉中という段階ではまだこの要件は満たされていないと考えられています。また米国企業を買収するようなケースにおいて、投資家個人または投資企業の従業員のE-2ビザ取得が買収契約締結の条件となっている場合、ビザ発給までの間、投資資本をエスクロウ(第三者預託)に預託した旨の立証を必要とします。

(4)相当額の投資であること。
ビザの発給が認められるのに最低どれだけの投資をすればいいのかその具体的な金額は特に定められていません。しかし1つのガイドラインとして「比率テスト」と呼ばれる方法が用いられています。このテストでは、投資先企業が既に存在している場合、投資された金額とその企業の公正市場価格との比率が考慮されます。投資先企業が新規である場合、投資した金額と、企業を設立し実際に活動を始めるまでに必要と考えられるコストとの比率が検討されます。

投資先企業の公正市場価格、または新規企業を設立し、実際に活動を始めるに必要と考えられるコストが高ければ高いほど、「相当額」の要件を充たすために必要な比率は低くなります。例えば新規のコンサルティング会社を設立するのに5万ドルのコストが必要である場合、90-100%の投資額が「相当額」になリ、公正市場価格、または新規企業立ち上げに必要なコストが50万ドルといった規模の会社の場合、75%以上(投資額が37万5,000ドル以上)、また100万ドル以上の会社への投資の場合、50-60%以上、1,000万ドル規模の会社の場合、30%以上が1つの目安になるとされています。

(5)投資先企業が小規模でないこと。
投資先企業は、投資家とその家族の生計を支えるために必要な金額を遥かに上回る利益を上げていなければなりません。企業を立ち上げている段階などまだそのような利益をあげていないケースについては、その企業が米国労働者に雇用の機会を与えるなど何らの経済的効果を米国内に及ぼすことが予想される点を立証する必要があります。1997年の移民法改正規則によると、そのような経済的効果はE-2ビザ所持者が米国に入国後5年以内に現れていなければならないとしています。この期間に雇用の機会を提供できなかったなど経済的効果が何も現れていない場合、ビザの更新申請が却下される可能性があります。

(6)投資家(個人、法人)は投資先企業を実質的に支配できる立場にあること。
投資家が投資先企業の50%以上の持分を保有して、運営上の各種事案に対し決定権を持っていることが必要です。

(7)E-2ビザ申請者は以下のいずれかに該当する者として入国すること。

ア) 投資先企業のオーナー
イ) 投資先企業の役員、管理職
移民法規則によると、「役員」とは、投資先企業の政策、方向性について大きな決定権を持つ者、また「管理職」とは、投資先企業の重要部門について監督責任がある者で、通常下級レベルの従業員を直接指揮する職責にない者と定義されています。
ウ) 投資先企業の運営に不可欠な高度且つ専門的技術・知識を持つ者
E-1ビザでの説明を参照してください。

(8)E-2ビザ申請者は任務終了後米国を離れるつもりでいること。


4.Eビザの申請手続
(1) アメリカ大使館・領事館へのビザ申請(DS-156E)
A. 現地企業のEビザ資格審査
まず現地の雇用者(個人事業、会社)が、日米友好通商航海条約で定義されている貿易事業者、投資事業者としての資格を具備しているかが審査されます。この審査のため現地の雇用者は非移民ビザ補足申請書(DS-156E)のパート1、2の各項目に回答する必要があります。パート1は現地事業の概要について、パート2ではスタッフリスト、つまり米国勤務の役員、管理職、専門職の名簿を作成します。ここで回答した情報は毎年更新しなければなりません。但し経営上、または人事に関わることで変更事項が生じた場合、1年を待たずに更新が必要となります。

上記の補足書類の他、様々な添付書類を提出する必要があります。新規に設立された会社、事務所の場合、あるいは既存の会社が初めてEビザ資格審査を受ける場合、以下のような添付書類が必要となります。

必要な添付書類(例)

個人事業、現地法人、駐在員事務所、支店などが設立されたことを証明する書類:
・会社定款
・事業所、事務所等のリース契約書、売買契約
・法人設立認可証
・営業許可
・株式証券
日銀からの外貨承認書。
海外送金証明書等の資金調達方法に関する書類等。
現地事業内容・資本構成・現在までの投資内容・今後の投資計画・事業計画・日本人、米国人の雇用状況と今後の雇用計画 などを詳述した書類。
現地事業の年次報告書、財務諸表。
米国での法人所得税の税務申告書。
日米間に貿易があることを証明する書類:
・送り状
・信用状
・船荷証券
・発注書
・現地企業の総貿易量を証明する書類 など
米国内での投資の証明:
・資本財購入の証明
・土地、建物のリース契約書、売買契約書
・合弁事業契約書
・事業資産の評価額証明
・建築設計契約書
・建築現場の写真、青写真
・?投資計画の許認可など。
日本の会社の決算報告書、登記簿謄本、事業内容など。
現地企業の人事組織図等。

B.ビザ申請者のEビザ資格審査
補足申請書のパート3では、特定外国人がEビザ資格要件を具備しているかが審査されます。役員、管理職として派遣される駐在員の場合、その職務内容と職責範囲、現地企業の運営に不可欠な専門的知識、技能を有する者として派遣される場合、その知識、技能の内容、またその知識、技能を現地事業がどのように利用するのか、さらに実際そのような知識、技能を有していることを証明する卒業証明書、研修修了証明書、さらにこれまでの職務内容を詳述した書類等を添付書類として提出する必要があります。

DS-156E、添付書類を非移民ビザ申請書(DS-156)と非移民ビザ補足申請書(DS-157 16歳以上の申請者の場合)と併せてアメリカ大使館、領事館に提出します。

(2) アメリカ国内でのEビザ申請(在留資格変更申請)
Eビザを取得予定外国人が、その他の非移民ビザを持って既に米国に滞在している場合、移民局に在留資格変更の申請を行います。この場合用いられる書式はI-129(非移民労働者申請書)とEビザ補足書です。1998年12月以降、Eビザへの在留資格申請は移民局テキサス・サービスセンター及びカリフォルニア・サービスセンターのみで受理されています。バーモント・サービスセンターの管轄州からの申請は、カリフォルニア・サービスセンターが、またネブラスカ・サービスセンターの管轄州からの申請については、カリフォルニア・サービスセンターが処理することになっています。


ここで提供されている情報はアメリカ移民法についての一般的な情報であり、個々の事例の法的アドバイスとして利用されるものではありません。この情報だけで御自身のケースを判断なさらないで下さい。

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