J-1ビザは国務省の認可した交流訪問者プログラムに参加する外国人に発給されるビザです。
J-1ビザを取得した外国人には「2年間帰国義務規定」が適用される場合があります。この適用を受けると、J-1ビザで米国滞在中にA(外交官用ビザ)とGビザ(アメリカにある国際機関の職員用ビザ)以外の非移民ビザ、または移民ビザへの資格変更が認められません。またJ-1ビザで滞在後国外に出てアメリカ大使館、領事館にH、Lビザ、または移民ビザの申請をする場合、申請に先立ち少なくとも2年間自国に居住していなければならないという制約を受けます。この義務規定の適用を免れるためには免除申請をする必要があります。(この規定については後述「外国大学医学部卒業生」をお読みください。)
J-1ビザの有効期限と滞在期間
J-1ビザの有効期限
日本人の方には最長60ヶ月有効なビザが発給されます。(ビザの有効期間とは、この期間空港等において入国許可申請が出来るという意味に過ぎず、その間の入国が保証されたということではありません。)
Eビザ所持者に認められる滞在期間は2年間です。Eビザで2年以上滞在する必要がある場合、米国内で移民局に滞在期間の延長を申請するか、または一旦国外に出て、再入国の際に新たに2年間の滞在許可を認めてもらう必要があります。
J-1ビザでの滞在期間
入国審査の際、I-94カード(到着/出発記録カード)には、D/S(Duration of Status)と記入され、有効な交流訪問者資格証明書を所持し、不法就労など在留資格違反がなければビザの有効期限が切れていてもアメリカに合法的に滞在していることになります。但しビザの有効期限後に旅行などで一時的にアメリカを離れた場合、再入国のためにはアメリカ大使館、領事館からJ-1ビザスタンプをもらう必要があります。
J-1ビザを利用できる外国人
1.大学(院)生
フルタイム(全日制)の学生としてプログラムに参加する必要があります。学位を受けるか否かは問いませんが、学位を受けない留学である場合、プログラムへの参加は長くても24ヶ月までです。
留学生には就労が認められる場合があります。
・ | アカデミック・トレーニング(Academic Training) 在学中あるいは履修課程修了後の実務研修。大学の学部学生や博士課程修了前の学生の場合には18ヶ月までの研修が認められます。博士課程を修了した学生の場合は36ヶ月までです。この研修が認められるには、成績優秀で、研修内容が履修科目に関連したものである必要があります。 |
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・ | キャンパス内・外でのアルバイト(学期中は週20時間まで) 奨学金制度の一環としてのアルバイトや、予期せぬ事態が発生し働かなければならなくなったなどの理由があればアルバイトが可能です。 |
2.高校生
米国の高等学校(grade 9から12:日本の中学3年から高校3年までに相当)に留学する場合、1年間の滞在が認められます。原則として働くことは出来ません。
3.短期滞在の学者
アメリカで講義をしたり、セミナーに参加する等の目的で短期間 (6ヶ月まで)滞在する教授や研究者のためにJ-1ビザが利用されます。延長は認められていません
4.トレーニー、インターン
以下に挙げる分野でのトレーニングが認められています。
トレーニーとしてプログラムに参加するための要件: 下記のいずれかに該当すること。
トレーニーのプログラム期間は最長18ヶ月間です。ただし、農業、及びホスピタリティ(接客業)・旅行業の分野に関するプログラムの場合、その内容がマネージメント・プログラムでなければ、最長12ヶ月間となります。
「インターン」は、2007年6月19日の改正規則によって新たに設けられたカテゴリーで、インターンとしてのプログラムの期間は最長12ヶ月間です。現在アメリカ以外の大学、短大、専門学校において教育を受けている方、または卒業して12ヶ月以内の方が利用できます。
5.教師
以下の要件を満たす初等及び中高等学校の教師は、J-1 ビザで最長3 年までプログラムへの参加が認められています
6.教授・研究者
大学、美術館、図書館などで、講義、講演、コンサルティングをする教授、または研究目的でアメリカに入国する研究者は、一部例外を除き、5年までプログラム参加が認められています。5年を超えた期間延長は原則として認められていません。
J-1ビザで入国する教授・研究者は終身在職権の保証されたポジションに就くことは出来ません。
J-1ビザでかつてアメリカに住んでいた外国人の場合、出国後1年以内に教授、研究者として再びJ-1プログラムに参加することは認められていません。但し、(1) 短期滞在の学者として滞在していた場合、(2) 6ヶ月以内の滞在であった場合、または (3)プログラムのスポンサーを変更した場合についてはこの限りではありません。
7.専門家
前記の「短期滞在の学者」「教授・研究者」及び後述の「外国大学医学部卒業生」に該当しない特殊な知識、技術を持つ専門家が、見学、意見交換または講演などの目的で米国を訪問する場合にJ-1ビザが利用されます。最長1年までプログラム参加が認められています。
8.外国大学医学部卒業生
外国大学医学部卒業生がアメリカで医学研修を受けるためにJ-1ビザを利用する場合、原則として7年までプログラムに参加することができます。
臨床を含む研修を目的としてJ-1ビザ取得を希望する外国人の場合、外国大学医学部卒業者教育委員会(the Educational Commission for Foreign Medical Graduate = ECFMG)にスポンサーになってもらう必要があります。この委員会にスポンサーになってもらうには米国医師資格試験に合格するなどの要件を満たす必要があります。
臨床を含まない、見学、講義、研究を主とする研修を主な目的とする場合、一般の大学もスポンサーになることができます。スポンサーは、研修に臨床を含まないこと、仮に臨床を行なうことになっても、それはあくまで講義、研究に付随したものであり、その場合臨床が行われる州の医師免許を持つアメリカ市民又は移民ビザ保持者の医者の指導・監督の下でなされることを保証する必要があります。
2年間の帰国義務規定
臨床を含む研修を受ける外国人の場合「2年間帰国義務規定」の適用を受けます。
その他、以下のいずれかに該当する外国人もこの規定の適用を受けます。
・ | 自国で稀少とされている技能を持つ外国人 - 米国国務省の発行する「交換訪問者技能リスト」(各国ごとにどのような技能が不足 しているかを示したリスト)の中で、特定外国人の持つ技能が自国で不足している とされている場合。なお、日本はこのリストに挙げられていません。 |
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・ | アメリカ政府、または交流訪問者の自国政府から財政的支援を受けているプログラムを利用する場合。 |
2年間の帰国義務規定の対象となる外国人は次のような制約を受けます。
講義や研究を主な目的とする研修(臨床が講義・研究に付随して行なわれるに過ぎない場合)を受ける外国大学医学部卒業生については、この規定の対象となるその他の2種類のカテゴリー(①アメリカ政府又は同外国人の自国政府から助成金を受けている研修の場合、または②国務省が発行している「交流訪問者技能リスト」の中で当該分野において同外国人の持つ技能・技術が自国で不足しているとされている場合)のいずれかに該当しない限り、この規定の適用はありません。
9.夏季旅行・就労目的の学生
夏季休暇の間、米国内の旅行・就労を目的としたプログラムに参加する外国人大学生には通常最長4ヶ月まで滞在が認められています。
10.オーペア
一般家庭に滞在して家事、子供の世話などをしながら大学などに通うことができるプログラムです。高校を卒業している18歳から26歳までの外国人が対象となります。オーペアとしてJ-1ビザを取得した場合、最長1年までの滞在が認められます。
アメリカ大使館・領事館へのJ-1ビザ申請
アメリカ政府認定のプログラムへの参加が認められると、当該プログラムのスポンサーより「交流訪問者資格証明書」(Certificate of Eligibility for Exchange Visitor Status、DS-2019)が発行されます。この証明書を、パスポート、非移民ビザ申請書(DS-156)、参加予定プログラム参加の為に十分な英語力があること、アメリカでの滞在期間におけるプログラム参加費用・生活費などを賄うに十分な費用があること、アメリカ国外に居所を持ち、そこに戻る意思があることを証明する書類等と共に提出します。なお同時多発テロの影響により、非移民ビザ補足申請書DS-157(申請者が16歳以上の場合)、DSー158(「連絡先及び職歴書」)の提出も併せて要求されています。
2002年7月1日より、航空訓練学校に留学するためのJビザに関する申請手続が変更されています。これは在日アメリカ大使館からの情報で、従来の必要書類の他に下記の事項を示した追加書類を提出する必要があります。
・ | 訓練を受ける理由。 |
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・ | 現在の雇用主名、及び申請者の職務内容。 |
・ | 誰が学費を支払うのか。(その名前と申請者との関係) |
・ | 飛行訓練修了証明書、または等級を示す証明書。(お持ちの方のみ) |
・ | 飛行訓練を受ける予定の飛行機のタイプ。(学校の署名が必要です。) |
・ | その飛行機の正式な離陸重量についての情報。(学校の署名が必要です。) |
・ | 現在パイロットとして働いている場合、その等級または肩書き。 |
ここで提供されている情報はアメリカ移民法についての一般的な情報であり、個々の事例の法的アドバイスとして利用されるものではありません。この情報だけで御自身のケースを判断なさらないで下さい。