L-1ビザ 同系企業内転勤者ビザ

L-1ビザは、日本にある会社の社員が米国にある子会社、親会社、支店、関連会社などに役員、管理職、または特殊知識保持者として派遣される場合に発給されます。Eビザ(条約関連貿易駐在員、投資駐在員)取得に要求されるだけの「貿易量」や「投資額」が見込めない企業が利用できるビザです。社員が役員・管理職として派遣される場合にはL-1A、特殊知識保持者として派遣される場合にはL-1Bが交付されます。


1. L-1ビザの有効期間 ・滞在期間
米国で設立されて1年以上の現地受入れ企業に派遣される場合

日本国籍の方については最長5年間有効なビザが発行されます。
L-1Aの場合、最長7年までの滞在が、L-1Bの場合、最長5年間の滞在が認められます。

新しく現地企業を設立する場合、または設立されて1年未満の企業に派遣される場合

いずれの場合も最初1年間に限定されます。
1年以上の滞在が必要な場合、現地企業が過去1年間何からの事業を行ってきたことなどを立証できれば更新が認められます。

2. L-1ビザの取得要件
(1)日本の派遣元と米国の受入れ企業との関係
日本の派遣元と米国の受入れ企業とが同じ会社(支店や駐在員事務所)であるか、親子会社または関連会社の関係にあること。関連会社の関係にあると認められるためには、一方の株式、持分の過半数を他方が保有しているか、または一方が他方の経営、事業運営をコントロール出来る関係にあるか、あるいは2つの企業が同一の親会社、株主グループによってコントロールされていることが必要です。

(例)
日本企業と米国の受入れ企業とは同じ会社の支店同士である場合。
米国の受入れ企業が、日本の会社の過半数の株式、持分を保有している、またはその逆のケース。
日本の会社、米国の受入れ企業とも過半数の株式、持分が同一の会社、または同一株主、または同一株主グループによって保有されている場合。なお、両社が同一株主グループによって保有されている場合、グループ内の各株主がおおよそ均等に株、持分を保有していることが必要です。
米国の受入れ企業が会社A(派遣社員が勤務)と会社Bとの合弁会社(各会社が50%づつ折半)である場合。

(2) 社員が米国に派遣されている間、日本の派遣先企業、米国の受入れ企業とも実際に事業活動を行っていること。 
この要件は日本の個人企業のオーナー自らがLビザで米国に入国し、その間日本国内の企業が実質的に機能していないという事態を避けるために設けられています。
(3) 派遣社員は、ビザ申請前の3年間のうち少なくとも1年間継続して米国外の同系企業に勤務していること。
2002年1月16日の移民法改正により、包括申請(後述)が認可された企業からの派遣社員については、この要件が1年から6ヶ月に軽減されていましたが、2004年12月8日成立した改正移民法により、6ヶ月から再び1年に戻されることになりました。(なおこの新たな改正規定は、2005年3月8日以降移民局に提出されるL-1ビザ申請に適用されます。)

(4) 派遣社員は米国外の同系企業で役員、管理職、または特殊知識保持者として勤務していること。

(5)米国の受入れ企業で役員、管理職または特殊知識保持者として雇用されること、及び派遣社員にそのようなポジションに就く資格・経験があること。
 「役員 」
以下の4つの要件を具備していることが必要です。

組織全体,組織内の重要な部門、業務の管理を監督する者。
組織全体,組織内の業務、部門に関し経営目標や経営方針を決定する者。
組織の意思決定に幅広い裁量権を認められていること。
上級役員、取締役会,株主からの指揮監督のみ受ける立場にある者。

 「管理職 」 以下の4つの要件を具備していることが必要です。

組織全体,組織内の部署または業務を管理する者。
他の監督者、専門職、他の管理職を指揮,監督する者であるかまたは組織の重要な業務,部署を管理する者。
部下の人事権を持つ者、あるいは直接の部下はいないが、組織の上級レベルで業務を遂行する者。
部下の人事権を持つ者、あるいは直接の部下はいないが、組織の上級レベルで業務を遂行する者。

 「特殊知識保持者」 以下の4つの要件を具備していることが必要です。

スポンサーとなる日本企業の製品、サービス、研究、設備、技術または経営管理等に関する特殊な知識、またはそれらを国際市場でどのように適用するかについての特殊な知識を持つ者。
スポンサーとなる日本企業の製品、サービス、研究、設備、技術または経営管理等に関する特殊な知識、またはそれらを国際市場でどのように適用するかについての特殊な知識を持つ者。

(6) 派遣社員は、ビザの有効期限が切れた後、米国を離れるつもりであること。
非移民ビザを取得するためには原則として米国滞在中も米国外に居所を持ち、いずれそこに戻る意思があることを立証する必要があります。あくまで米国滞在は一時的なもので、永住するつもりがないことを証明できなければ非移民ビザを取得できません。但し非移民ビザの中には例外としてこの要件を必要としていないビザがあり、L-1ビザはこの例外に属します。つまりL-1ビザを申請する外国人は、相反する2つの意思(永住しようという意思と一時的に滞在する意思)を同時に持つことが認められていて、L-1ビザ申請前に移民ビザを申請しているという理由によってL-1ビザ申請が却下されることはありません。


3. L-1ビザの申請
L-1ビザには以下の2つの申請方法があります。
 (1)個別申請
 (2)包括申請

(1) 個別申請
「非移民労働者入国許可申請書」(I-129)とLビザ補足申請書、必要添付書類を外国人の勤務予定地を管轄とする移民局に提出します。

必要添付書類

社員を派遣する日本企業または現地の受入れ企業からの手紙。
派遣される社員の日本企業内での詳細な職歴、資格など。
派遣される社員が現地の受入れ企業でどのような職務を遂行するか、また給与などについての詳細。
日本企業と現地の受入れ企業との間の関係を示す書類。
社員が派遣されている間も日本企業は事業を行なうことを証明する書類。
派遣社員はビザが切れた後米国を離れる意思がある旨の宣誓。

などが必要となります。

新しく支社などを設立する目的で社員を派遣する場合、上記の書類の他に以下の添付書類も必要になります。

土地、施設などを確保していることを証明できる契約書など。
日本企業による対米出資の規模、日本企業に創業資金を賄うに足る資金力があることが証明できる書類など。

(2) 包括申請
包括申請は、L-1ビザ申請を頻繁に行なう企業のため申請手続を簡素化する目的で設けられています。米国の会社をはじめ世界各地の親会社、支店、関連会社をグループとして予め移民局に包括的に登録しておけば、その後グループ内の米国の会社に派遣される社員のL-1ビザ申請については移民局での審査が不要になります。但し包括申請の出来る企業は以下の要件を具備している必要があります。

申請者(米国の会社)とそのグループ企業は貿易またはサービスに従事する企業であること。
申請者は米国で1年以上商業活動をしている 。
申請者は少なくとも3つ以上米国国内または海外に支店、子会社、関連会社を持っていること。
包括申請に参加するグループ企業について以下の3つの要件のうちいずれかに該当すること。

  1. 過去12ヶ月の間にL-1ビザの申請許可を10回以上受けていること。
  2. 申請者及び米国国内の子会社、関連会社における年間売上総額が2,500万ドル以上。
  3. 米国での従業員が1000人以上であること。

4.配偶者の就労
2002年1月16日、L-1ビザ保持者の配偶者に米国での就労を認める法律が成立しました。就労を希望する配偶者は居住州を管轄とする移民局のサービスセンターに就労許可申請を行なう必要があります。


5.詐欺防止料
2004年12月8日成立した改正移民法により、2005年3月8日以降移民局に新規L-1ビザ申請、または他の非移民ビザからL-1ビザへ滞在資格変更の申請を行う際、通常の申請料に加え、詐欺防止料として500ドルの支払が必要となります。


ここで提供されている情報はアメリカ移民法についての一般的な情報であり、個々の事例の法的アドバイスとして利用されるものではありません。この情報だけで御自身のケースを判断なさらないで下さい。

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